2022.09.30
サーキットを走ってみたいけど、いったい何から始めたらいいの?必要なモノも多そうだし、遅い初心者が走ったら邪魔になりそう……。そんな悩めるアナタに、サーキットを走るために必要なモノゴトを、わかりやすくレクチャーします。
サーキットを走る代表的な方法はふたつ。ひとつは、各サーキットが発行するライセンスを取得し、スポーツ走行に参加すること。ライセンス取得料や年会費が必要なのでややハードルは高め。もうひとつが走行会に参加すること。走行会は主催者がサーキットを貸し切りで開催するので、主催者が許可すれば走行できる。1回あたりのコストは上がるが、気軽に参加できるのが魅力。本誌主催のRIDING PARTYも走行会形式のイベントだ。
走行会であればライセンスなどの特別な資格を取得する必要はなく、走らせるバイクに対応する運転免許を所持していればOKな場合が多い。一方で、スポーツ走行枠の場合、基本的にはサーキットごとのライセンスが必要。小さなサーキットでは入会費を支払って申請するだけで取得できるが、トップカテゴリーで使われるようなサーキットでは、講習会への参加やショートコースの走行経験など、取得条件がある場合も多い。
走行会では、ブリーフィングの参加が義務付けられている。ここでは走行会のスケジュールなどの連絡事項だけでなく、走行に関する注意やルールとマナーの確認が行われる。サーキットによっては、ローカルルールが存在することもあり、その内容もブリーフィング時に説明される。基本ルールを解説してくれるので、ビギナーにはありがたい。わからないことがあれば回答をもらえる場でもあるので、有効に活用しよう。
サーキット走行中、コース状況を知る手段はフラッグとシグナルだけ。フラッグとシグナルの提示位置は固定なので、フラッグポストとシグナルの場所は確認しておこう。フラッグの意味は、基本的に全サーキット共通。ローカルルールが適用される場合は、ブリーフィングで説明される。ここでは最低限知っておきたい4種類のフラッグの意味を紹介する。
サーキットは必ずしも危険な場所ではない。だが、スポーツライディングである以上、転倒の可能性はある。ライディングギアは、とにかく安全性を最重要視すること。
ヘルメットは安全性の高いフルフェイスヘルメットを使う。ヘルメットリムーバーを併用すると、本人がヘルメットを脱げない状態でも他者がヘルメットを外しやすくなる。また、インカムやウェアラブルカメラなどを取り付けていると、転倒時に周囲のものに引っかかり、ダメージを大きくする可能性があるので、事前に取り外しておく
レーシングスーツに付いているプロテクターとは別に、バックプロテクターとチェストプロテクターは用意したい。胸部や脊椎を損傷すると人体に深刻なダメージを負うので、硬質素材のプロテクターで守りたい。EUで制定されたCE認証品であれば、性能は担保される。CE規格はレベル1と2があり、2の方が安全基準が厳しい
速度の遅い体験走行なら、テキスタイルのウエアでも走行可能な場合があるが、スポーツ走行を行うのであれば、レーシングスーツの着用を推奨。基本はワンピースタイプだが、走行会によってはツーピースでの参加が可能なところもある。レンタルのレーシングスーツを用意している走行会や、ウエアメーカーもあるので調べてみよう
グローブとブーツも安全性優先で選ぶこと。グローブは素材が丈夫で、プロテクターを装備しカフが長めに作られたレーシンググローブと呼ばれるタイプを使用。ブーツもレーシングブーツを使いたい。ショートブーツはスネをガードできないし、フィッティングに靴ひもを使うタイプはバイクに絡まる可能性があるので使わないこと
MFJはバイクレースの国内競技連盟。日本で開催されるバイクレースの多くは、MFJの公認・承認競技。ヘルメットとレザースーツには、MFJ公認を受けた製品がある。高い安全性を持ち、MFJ管轄の競技で使用が認められたもの。基準のひとつとしてライディングギア選びに活用したい
可能な限り装備したいのが着用型エアバッグ。ベストタイプなら、レーシングスーツの上から装着するだけ。使用時は、バイクとエアバッグを起動トリガーとなるワイヤーで繋ぐ必要があるが、最近では加速度センサーなどを利用したワイヤレスタイプの着用型エアバッグも登場している。
サーキットを走るには特別な改造が必要? そんなことはない!しっかり整備されていれば、いつもの街乗りバイクで走行可能だ。気をつけておきたい、バイクやギアのポイントを紹介。
ライトやウインカーといった灯火類は、転倒時の飛散防止のためテープで処理すること。ミラーやナンバーの取り外しが義務付けられる走行会もある。RIDING PARTY の場合、公道走行車両での参加が前提で自走での参加者が多いこともあるため、逆にミラーなどの取り外し「可」としている。基本的には他の保安部品は装着した状態で走行したい。
装着が義務付けられているわけではないが、万が一を考えると付けておきたいのが、転倒時にバイクへのダメージを軽減するプロテクションパーツ。スライダーはカスタムパーツとしても人気が高く、様々なメーカーから専用品がラインナップされている。クランクケースなどに被せる2次カバーは、エンジンの保護に効果大。
サーキットでは、ハイグリップタイヤが有効なのは事実。とはいえ、ビギナーにレース用は薦められない。温度管理が必要で、性能を引き出せないと逆に滑りやすい場合もある。また、コンディションにも注意したい。タイヤが古くなっていないか? 磨耗していないか? 空気圧は適正か? 等々チェックしておこう
サーキットを走るからといって、特別な整備は不要。だが、それはマシンが完調であることが大前提。サーキットでのスポーツランは、まず間違いなく一般公道より走行スピードが高い。トラブルが発生した時のダメージは大きくなる可能性が高いし、一緒に走る人に迷惑をかけることにもなる。
○タイヤ ……. 溝は残ってる?/空気圧は?/ひび割れは?
○チェーン ….. サビてない?/注油OK?/タルんでない?
○オイル ……. 規定値通り?/にじみはない?/古くない?
○ブレーキ …. パッドの残量は?/フルードの量は?/エア噛みは?